PDF 出力と ISO 32000-1:2008 非準拠問題
報告ありがとうございます.
とりあえず,デフォルト和文フォントを変える手段として,luatexja.cfg を使うことが出来ます. 例えば,luatexja.cfg を以下の内容で作成すると,非埋め込みの Ryumin-Light, GothicBBB-Medium は用いず, 代わりに IPA 明朝と IPA ゴシックを埋め込むようになります.
\def\ltj@stdmcfont{IPAMincho} \def\ltj@stdgtfont{IPAGothic}
デフォルトの和文フォントを IPAex フォントに変更した,20141013.0 をリリースしました.
# 「非埋め込みフォントに対して Identity-H が使用される」問題自体にはまだ対処できていませんが…….
luatex-ja のデフォルトの設定では和文フォントは明朝体は Ryumin-Light、ゴシック体は GothicBBB-Medium という名前で非埋め込みとなるようで、実際の PDF 出力にはこれらのフォントが利用されます。ここでエンコーディング (CMap) には Identity-H が使われるのですが、ISO 32000-1:2008 では非埋め込みフォントに対する Identity-H/Identity-V の使用は禁止されているようです:
これらの記述は Adobe から出版された過去の PDF のバージョンにはないようです。
ちなみに Adobe Acrobat も同様の問題を抱えています。実際、Adobe のサイト
でも Acrobat 9/X で和文フォントを非埋め込みにすると Identity-H が使用されてしまうことが読み取れます。Acrobat XI でも設定で「最小ファイルサイズ」にすると和文フォントは非埋め込みとなり CMap には Identity-H が用いられてしまうようです。
Adobe にはバグとして報告済みで(返答は期待できない)、ISO にも過去の PDF のバージョンと非互換ではないのかと問合わせ中です。
luatex-ja のデフォルト出力も ISO 32000-1:2008 に非準拠な状態となっているようですので報告いたします。