Toshiro Yagi
t_yagi****@hikob*****
2002年 8月 3日 (土) 11:39:34 JST
八木です。 > 【実際、AI 研でも最高のプログラマはプログラマ用語を嫌い、その代わりにもっと俗語めいたハッカー > という職業名を好んだ。/実際、AI 研でも最高のプログラマはプログラマという言い方を嫌い、その代 > わりにもっと俗語めいたハッカーという職業名を好んだ。;"Indeed, the best programmers > at the AI Lab disdained the term programmer, preferring the more slangy > occupational title of hacker instead." の"the term programmer"は、the > term = programmer で、「プログラマという言い方」とか「プログラマという言葉」の意味だと思う。】 見直しのときに「プログラマという呼び名を嫌い」にしよう、と決めたのを 思い出しました。こちらはどうでしょう? > ;"It was because of this give-and-take philosophy that when Stallman > spotted the print-jam defect in the Xerox laser printer, he didn't > panic. He simply looked for a way to update the old fix or " hack" for > the new system. In the course of looking up the Xerox laser-printer > software, however, Stallman made a troubling discovery. The printer > didn't have any software, at least nothing Stallman or a fellow > programmer could read. Until then, most companies had made it a form of > courtesy to publish source-code files-readable text files that > documented the individual software commands that told a machine what to > do. Xerox, in this instance, had provided software files in > precompiled, or binary, form. Programmers were free to open the files > up if they wanted to, but unless they were an expert in deciphering an > endless stream of ones and zeroes, the resulting text was pure > gibberish." "the old fix or " hack" の "or" は、「つまり」のほうだと思う。】 むちゃくちゃ引用が長いから、すげえたくさんポカをやっちゃったかと 思いました。これは難しいですね。「すなわち」なんかがぴったりかな。 ハックという言葉の前にちょっともったいぶったタメを作る感じで。 まあ好みですが。 > 【唯一の違いは、AI 研のためにソフトウェアをコピーさせてもらうのにストールマンはハーヴァードの > ハッカーに自分たちのオリジナルのプログラムを使えなくしてしまうことはないという点だけだ。/唯一の > 違いは、AI 研のためにソフトウェアのコピーを借りてきても、ストールマンとしては、ハーヴァードの > ハッカー達から何もとりあげていないという点だ。ハーヴァードのハッカーは、自分たちのオリジナルの > プログラムを使うことができる。;"The only difference was that in borrowing a > copy of the software for the AI Lab, Stallman had done nothing to > deprive Harvard hackers the use of their original program. "文を分けて書 > いたほうが意味を明確に書けると思う。】 確かに確かに。ここは意味が大事なところですからね。 二つの文の間に「なぜなら」「というのも」が入るともっと 意味は明確になりますが、訳としてはどうでしょう。 > 【ハーヴァードからは誰もプログラムを借り出しに来た人はいなかったが、民間の建設会社 Bolt, > Beranek & Newman のプログラマがやって来てプログラムを借り出し、いくつか機能を追加 > したものをすぐに AI 研のソースコード・アーカイヴに取り込んだことをストールマンは覚えていた。 / > ハーバードからは誰もプログラムを借り出しに来なかったのだが、ストールマンは、エンジニアリングの > 合名会社 Bolt, Beranek & Newman のプログラマのことを思い出す。彼は、プログラムを借り出 > して幾つかの機能を追加した。ストールマンは、それを最終的には、AI 研のソースコード・アーカイヴに > 再び統合した。 ;"Although nobody at Harvard ever came over to borrow the > program back, Stallman does recall a programmer at the private > engineering firm, Bolt, Beranek & Newman, borrowing the program and > adding a few additional features, which Stallman eventually > reintegrated into the AI Lab's own source-code archive. " これも、文を分 > けて書いたほうが意味を明確に書けると思う。】 「ストールマンは、」の「、」が余計かも。 それから、「思い出す」がなんだかとつぜん現在形で不自然な気もします。 それにしてもなぜeventuallyが「すぐに」と訳されているんだろう。>自分 「ハーバードからは誰もプログラムを借り出しに来なかったが、ストールマンはエンジニアリングの 合名会社 Bolt, Beranek & Newman のプログラマのことなら覚えている。その人物はプログラム を借り出して幾つかの機能を追加し、ストールマンはそれを最終的にAI 研のソースコード・アーカイヴに 再び統合したのだ。」 という感じはいかが? > 【;ハーバードの表記が一般化しているように思うがどちらにすべきかは不明。】 最初ハーバードと書いていましたが、ATOKを入れてから調子に乗って ハーヴァードにしていました。もちろんジャストシステムに罪はありませんが。 どうなんでしょう。ハーバードの方が通りがいいようでしたらそちらに 統一しましょうか。 > 【;Bolt, Beranek and Newman, Incをオンライン事典で見ると、"A company in > Cambridge, Massachusetts, USA. They were awarded the original contract > to build the ARPANET and have been extensively involved in Internet > development. They are responsible for managing NNSC, CSNET, and > NEARnet. "とあり、「エンジニアリングの合名会社」としてみました。】 あ、これは未チェックでした。ありがとうございます。 > 【西海岸では AT&T の下級エンジニアと共同作業していたカリフォルニア大学バークリー校の > コンピュータ科学者たちが、この手法でオペレーティング・システムをまるごと完成させた。Unix と呼 > ばれる、学究レベルではよりまともな旧式の Multics という名のオペレーティング・システムの影響を > 受け、そのソフトウェア・システムは磁気テープにコピーする実費と送料を負担する気があればどの > プログラマにも利用可能なものだった。/西海岸では、カリフォルニア大学バークリー校のコンピュータ > 科学者たちが、AT&T の数人の下級エンジニアに協力して、この手法でオペレーティングシステム > をまるごと完成させた。Multics という旧式だが学問的にはより立派なオペレーティングシステム > をもとにつくった Unix という作品だ。そのソフトウェアシステムは、新しい磁気テープ代と送料を惜 > しまないプログラマなら、誰でも利用することができた。;"On the west coast, computer > scientists at UC Berkeley, working in cooperation with a few low-level > engineers at AT&T, had built up an entire operating system using this > ! > system. Dubbed Unix, a play on an older, more academically respectable > operating system called Multics, the software system was available to > any programmer willing to pay for the cost of copying the program onto > a new magnetic tape and shipping it. "この下級エンジニアというのが、Ken > Thompson と Dennis Ritchie ですね。】 UNIXの歴史を知らなかったので、自信がなかった箇所です。 あと、こういった脚注もできれば積極的に作成していく方がいいと 思うので、関連事項はどんどん指摘してください。>みなさま > 【;"Why not share it out of a simple desire for good karma? "の"for good > karma"は、日本で伝統的に使われてきた表現なら、(良い来世のために)「善行を積む」 > といったあたりでしょうか。「カルマを上げる」という訳をつけることには反対です。この表現は、松本某 > のもので、オウム教団の信徒を偽罔してあらゆる無残な行為に駆り立てるために用 > いられたものですから。「カルマ」という言葉自体は、オウムより前から、日本でもけっこう使 > われていましたが「良いカルマ」とするよりも、意味をとったほうがいいと思う。もっとも、ヒッピー文化の > 影響を訳語に生かしたければ「カルマ」は残したいかもしれませんね。】 ううん、カルマは冗談としても通じる言葉だし、あまり神経質に なることもないと思いますよ。やろうと思えばなんでも勘違いして しまうのがデスカルトですからね。ヒッピー文化は外せない要素 ですから、できればなんとか残したいです。 #イニシエーションなんて言葉も、人類学者なんかは #ずいぶんと迷惑してるんじゃないかな。通過儀礼が #修行と称するあんな行為のことにされちゃ困るでしょう #し、お見合いの席で下手に口にしたらすぐ破談でしょうね。 #むしろそういった語彙の正常化のためにも #より本来の意味で積極的に使う方がいい、というのが #私個人の考えでもあります。 が、善行の方が言葉としてはより洗練されているとも思います。 #カルマ制度のあるスラッシュドットを意識したんですが、 #もうちょっとすっきりした表現でもいいかな、とは思います。 > 【しかし、望んでいたファイルを出すのに失敗すると、ストールマンに疑問が芽生えた。前の年に彼は > カーネギーメロン大学の医学生との間にある揉め事を経験していたのだ。/しかし、隠された欲しい > ファイルを明るみに出すのに失敗したとき、ストールマンの疑問はふくらみ始めた。前の年、 > ストールマンは、カーネギーメロン大学の博士過程の学生に対して腹を立てるという経験をしてい > た。;"When the desired files failed to surface, however, Stallman began > to grow suspicious. The year before, Stallman had experienced a blow up > with a doctoral student at Carnegie Mellon University. " "doctoral > student" は「博士過程の学生」。】 すいません。本当にすいません。ご指摘感謝します。 > 【互いに共有し合うという意図を尊重せず、その代わりにリードは企業にプログラマが情報アクセス > するために支払いを強制させるための手段を盛り込んだのだ。 > /リードは、互いに共有し合うという考え方を尊重しないで、プログラマが情報にアクセスするなら会社 > に金を払わざるをえない方法を導入したのだ。;"Instead of honoring the notion of > share-and-share alike, Reid had inserted a way for companies to compel > programmers to pay for information access. "ここでは、"the notion" は意図 > というより理念や考え方の意味ではないでしょうか。】 元の訳は後半が変ですね。意図というのは、まあそういう「こころづもり」 の意味で使った言葉ですが、確かに理念の方がぴったりきます。 「プログラマが情報にアクセスするためには会社に金を払わざるを得ないような、そんなやり方を導入した (盛り込んだ)のだ」 > 【一週間が過ぎ、ゼロックスのレーザープリンタのソースコードを突き止めるという試みが壁に行き当 > たった頃、ストールマンは前と同じような金のためのコードというシナリオが動いているのではないかと > 勘付き始めた。だが手も足も出なくなる前に、ようやくプログラマの風の噂でいい知らせが伝 > わってきた。話によれば、カーネギーメロン大学のコンピュータ・サイエンス学部の科学者がゼロックスの > パロアルト研究所の仕事を辞めたという。その科学者が件のレーザープリンタを担当していたのだが、噂 > では彼はカーネギーメロン大学の調査業務の一環として今でもまだその担当だというのだ。 > /数週間がたち、ゼロックスのレーザプリンタのソースコードを突きとめる試みが壁に突き当たった頃、 > ストールマンは、コードをお金にする同じシナリオが働いていることを感じ始めた。しかし、ストールマン > がそれについて何か言えるようになる前に、プログラマの情報網からついに良いニュースが伝 > わってきた。カーネギーメロン大学のコンピュータサイエンス学部のある科学者はゼロックスのパロアルト > 研究所の仕事を辞めたばかりだ。科学者は問題のレーザープリンタをやっていたうえ、噂によれば、 > カーネギーメロンでの彼の研究業務の一環として、まだそれをやっているらしい。 > ;"As the weeks passed and his attempts to track down Xerox > laser-printer source code hit a brick wall, Stallman began to sense a > similar money-for-code scenario at work. Before Stallman could do or > say anything about it, however, good news finally trickled in via the > programmer grapevine. Word had it that a scientist at the > computer-science department at Carnegie Mellon University had just > departed a job at the Xerox Palo Alto Research Center. Not only had the > scientist worked on the laser printer in question, but according to > rumor, he was still working on it as part of his research duties at > Carnegie Mellon. " "As the weeks passed" なので「数週間」。 "Before Stallman > could do or say anything about it,"は、確証を得る前にという意味かと。】 本当だ、うっかりしました。確証を得る前に、というのは、たぶんその通りだと 思います。いかんなあ。 > 【これまでの疑いは捨て、ストールマンは次にカーネギーメロン大学のキャンパスを訪れる際にはその > 人物が誰なのか突き止めてやろうと堅く決意した。 > /これまでの疑いは捨てて、次にカーネギーメロン大学のキャンパスを訪れる際にはその問題の人物 > を探し出そうとストールマンは決心した。;"Casting aside his initial suspicion, > Stallman made a firm resolution to seek out the person in question > during his next visit to the Carnegie Mellon campus. "「その人物が誰なのか突 > き止めてやろう」というと、犯人探しのようなニュアンスを感じ、「これまでの疑いは捨て、」というのと > 不調和に思えたので(そうでもないかな)。】 主語と動詞が離れすぎているので、文の最後に「ストールマンは固く決意した」にする方が いいですね。それに、話し合いのために見つけようとしたのでしょうから、ここはやはり 「件の人物を必ず探しだそうとストールマンは固く決意した」くらいがいいかな。 > 【ほどなく、その機会がやってきた。カーネギーメロン大学にも人工知能を研究するための施設があり、 > 数ヶ月以内にストールマンはビジネス絡みの理由からキャンパスを訪れることになったのだ。/ほどなく、 > その機会がやってきた。カーネギーメロン大学にも人工知能を研究するための施設があり、 > ストールマンは数ヶ月以内に業務でキャンパスを訪れることになった。;"He didn't have to > wait long. Carnegie Mellon also had a lab specializing in > artificial-intelligence research, and within a few months, Stallman had > a business-related reason to visit the Carnegie Mellon campus. " > 「ビジネス絡みの理由から」と書くと「儲け話があって」というニュアンスを感じて「業務」に > (そうでもないかな)。】 なるほど、その方がいいかも。 > ....................................今日はここまで。 ありがとうございます&おつかれさまでした