[JM:00874] Re: GNU sed manpage 翻訳について

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長南洋一 cyoic****@maple*****
2013年 4月 9日 (火) 21:27:22 JST


長南です。

自分の文章を批評されるのは、ご不快なものでしょう。でも、他人の目で
見て、どのあたりが問題になりそうかを、前もって洗い出しておくために
やることですから、お心広く構えていてください。翻訳は、結局読者という
他人に見せるものですから。

Matsuzawa さんのメールより [JM:00872]
>
>> ○ DESCRIPTION から
>>
>> >   ... sed works by making only one pass over the input(s), and
>> >   is consequently more efficient.
>>
>> >   sed は入力に対して 1 パスだけで動作するので、より効率的である。
>>
>>   前の翻訳もこうなっていますが、「1 パス」は日本語としてまだ無理なの
>>   ではないでしょうか。どう言えばよいのか、わたしにはわかりませんし、
>>   こう訳しておくよりないのかもしれませんけれど。
> 
> それでは「ワンパス」といたします。これなら日本語としても問題ないでしょう。
> http://ejje.weblio.jp/content/one+pass

「パス」というカタカナ語のこういう使い方が、日本語としてまだ熟して
いないと思うのです。英語の make one pass は日常語でしょう。でも、
日本語の「ワンパス」は日常語とは言えません。

ここでは、具体的にはどういうことを言っているのでしょうか。そちらから
考えて行けば、もしかすると、誰にでもわかる訳ができるかもしれません。
もっとも、「パス」でも仕方がないのかなとも思っています。

今ふと思いついたのですが、

  sed は入力全体に対して 1 回動作するだけで作業を済ますので、

といった訳では、しっくりしないのでしょうか。そう書いたそばから、直前に
「sed  は編集スクリプトを使える (ed のような) エディタといろいろな面で
似ているが」という文章があるぞ。ed のスクリプトだって、1 回動作させる
だけで作業を済ませられるんじゃないのか、と思ってしまいますけれど。

>> >   -e script, --expression=script
>> >
>> >       add the script to the commands to be executed
>>
>> >       実行するコマンドとして script を追加する
>>
>> >   -f script-file, --file=script-file
>> >
>> >       add the contents of script-file to the commands to be executed
>>
>> >       実行するコマンドとして script-file の内容を追加する
>>
>>   「実行するコマンドに ... を追加する」でもよさそうな気がします。
> 
> 「実行するコマンドに script-file の内容を追加する」 は違和感があるので、
> これはそのままとさせていただきます。
> 「として」はsed自体の--helpから取ってきたのですが、
> sed翻訳者の方も同じく違和感を感じてこうしたのだと推測します。
> コマンドを追加するのであって、コマンドに追加するというのが、一瞬
> 引っかかる感じです。

そもそも add に違和感があるのだと思います。原文の著者は、sed に
コマンドを指定するのは当然だと考えているのではないでしょうか。
そこで、「add ... to (に追加する)」になった。また、-e を複数回使う
ことも考えていると思います。

> コマンドだと「commands」と「command」を区別できないからだと思います。
> 「コマンド群」とすれば意味的にはよいのですが、これも表現としてクドすぎます。
> sed翻訳者の方の「として」は、なかなか上手いと思います。

そうですね。読み返してみたら、「として」で悪くないと思えてきました。

>> >   --follow-symlinks
>> >
>> >       follow symlinks when processing in place
>>
>> >       インプレース処理においてシンボリックリンクを辿る
>>
>> >   -i[SUFFIX], --in-place[=SUFFIX]
>> >
>> >       edit files in place (makes backup if SUFFIX supplied)
>>
>> >       ファイルをインプレース処理で編集する (SUFFIX  指定時はバックアッ
>> >       プを取る)
>>
>>   「インプレース処理」は説明がないと、読者にわかりにくいと思います
>>    (もっとも、この manpage は「すでに sed を知っている人への備忘録」だ
>>    そうですから、「インプレース処理」でよいのかもしれませんが)。ついでに
>>    言うと、二番目の方は in place だけですね。「インプレース」について
>>    訳注を付けておいたら、どうでしょうか。
> 
> まず、二番目が「インプレース処理」となっているのは意図的です。
> 一番目と二番目が同じものを指していることを明確にするために表記を揃えました。
> あと、訳注は不要だと考えます。意味的な曖昧性もありませんし、十分理解可能です。
> 却ってごちゃごちゃして読みづらくなると思います。

「インプレース」も日本語として熟していないのではないでしょうか。
manpage は sed について知りたいときに最初に読むものですから、初心者にも
わかる表現がよいと思うのです。要するに、「結果を標準出力に出力するの
ではなく、ファイルを直接書き換える」ということでしょう。だったら、
そう書いてしまったらどうか、とも思うのですが、「インプレース」という
言葉を今まで知らなかった人に知ってもらいたいし、とも考えます。難しい
ところです。で、妥協として、訳注を考えたわけです。

>> >    -l N, --line-length=N
>> >
>> >       specify the desired line-wrap length for the `l' command
>>
>> >       l コマンドの行を折り返す長さを指定する
>>
>>   「l コマンドの」の「の」が曖昧だと思います。「l コマンドを使用する際に」
>>   「使用する際の」「使用時の」など、いろいろありそうです。
> 
> lコマンド使用時の〜、ではないんです。
> lコマンドの折り返し文字数指定なんです。
> lコマンド使用時の〜だと、まるでlコマンドを使用したら
> 出力がその文字数で折り返されてしまうように読めるので、
> 明らかにミスリーディングです。

あれっ、そういうことではないのですか。「l コマンドの使用時にその出力行が
何文字で折り返えされるかを指定する」ということだと思っていました。事実上
sed 'l N' と同じことだと。

> どこらへんが曖昧なのかはよく掴めていませんが、

「l コマンドの (行を折り返す長さ) を指定する」ではなく、「(l コマンドの行)
を折り返す長さを指定する」とも読めてしまうということです。「l コマンドが」
でも、曖昧さはなかったと思います。

> 「`l' コマンドの出力行を〜」と修正しました。
> これでいっそう明確になったかと思います。

これならはっきりしますね。ただ、今度は「出力行を折り返す長さを」と
「を」が続くのが (^^;;

>> >   -s, --separate
>> >
>> >       consider  files  as  separate rather than as a single continuous
>> >       long stream.
>>
>> >       複数の入力ファイルを一連のものとして扱わずに個別のファイルとして
>> >       扱う
>>
>>   「一連の」には複数のニュアンスがあるので、a single continuous の意味が
>>    出ないと思います。
> 
> 「一続きのストリーム」としました。

それなら、単一のものという感じが出ますね。もっとも、「ストリーム」が
日本語として熟しているかという話がまた出てきてしまうのですが、これは
仕方がないというか、使えないと不便すぎる気がします。

>> >   GNU sed home page:  <http://www.gnu.org/software/sed/>.   General
>>  help
>> >   using  GNU software: <http://www.gnu.org/gethelp/>.  E-mail bug
>> reports
>> >   to: <bug-s****@gnu*****>.  Be sure to include the word  ``sed''
>>  somewhere
>> >   in the ``Subject:'' field.
>>
>> >   GNU sed  ホームページ:  <http://www.gnu.org/software/sed/>。GNU  ソフト
>> >   ウェアを使用する際の一般的なヘルプ: <http://www.gnu.org/gethelp/>。電子
>> >   メールによるバグレポートの宛先: <bug-s****@gnu*****>。「Subject:  」フィー
>> >   ルドのどこかに「sed」を記載してください。
>>
>>   この部分は、Author セクションと重複しているのですね。Author セクション
>>   の方を削除してしまえばよいと思います。po ファイルでそれができればですが。
> 
> うーん、原文に存在するので、原文の方を尊重しようと思います。
> これが存在することで何か問題が発生するわけでもないでしょうし。
> 削除するなら、まずは原文からですね。

原文にケアレスミスがあるとき、それを修正するのも翻訳の仕事のうちです
から、消してもよいと思います。でも、おっしゃるとおり、あっても問題が
あるわけではありませんから、残してもよいと思います。

-- 
長南洋一



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