ファイルの生成

creatシステムコールまたはopenシステムコールにおいてO_CREATが指定された場合、 open_namei()関数がパス検索に失敗した場合、指定されたパス名を持つファイルの生成を試みる。ファイルの生成は、親ディレクトリのiノードのcreateオペレーションを呼び出すことにより実現されている。

ext2ファイルシステムの場合は、 ext2_create関数が呼び出される。

   ext2_create(親ディレクトリのiノード, 登録するdentry)
      フリーiノードを一つ確保(ext2_new_inode関数)
      iノードの初期化
         (ファイル操作テーブルとして、ext2_file_inode_operations,
          ext2_file_operations, ext2_aopsを登録する)
      ◇iノードの遅延書き込み要求(mark_inode_dirty関数)
      このiノードを親ディレクトリに登録(ext2_add_entry関数)
      新規作成したファイルのdentryとiノードをリンク(d_instantiate関数)

下に簡単な図で動作を示す。◆は同期書き込み、◇は遅延書き込み、◆と◇の横に書いてある番号は、処理順序を表している。

img45.gif

問題点

  1. SYNCモードのマウント時であっても、初期化を行ったiノードの 更新は、遅延書き込みとなっている。つまり、ディスク上では 初期化されていないiノードがディレクトリに登録されるという 状態が発生する。 このタイミングでシステムがクラッシュすると、一世代前の削除された 筈のiノード情報を参照してしまい、DUPブロックを発生してしまう。
  2. ディレクトリブロックの拡張が発生した場合、 SYNCモードであってもディレクトリのiノードの書き込みが 同期的に行われていない。つまりディスク上ではディレクトリサイズが 変更されていないタイミングが存在することになる。 このタイミングでシステムがクラッシュすると、ディレクトリの この拡張ブロック部分に登録したファイルが参照できなることを 意味している。(見えなくなるだけで、DUPブロックは発生しない)

(NIS)HirokazuTakahashi
2000年12月09日 (土) 23時55分06秒 JST
1